内外経済と中小企業の動向～Keep pushing forward into the Future～

世界経済は、米国による関税引き上げを見越した前倒し需要などを背景に、当初の予想を上回る堅調な推移を見せてきました。
しかしながら、足元では関税政策の悪影響が徐々に顕在化しつつあり、景気を下押しする圧力が一段と強まっています。

このような国際情勢の変化は、わが国も例外ではありません。直近7-9月期のわが国の実質GDP成長率は、6四半期ぶりのマイナスに転じました。特に、わが国では食料品価格の高騰を主因として、消費者物価が日銀の物価安定目標を上回る水準で上昇を続けています。一方で、実質賃金の回復は限定的にとどまっており、内需の柱である個人消費が力強さを欠くなど、景気の下振れリスクは高い状況にあります。
こうした状況を打開すべく、「さらなる生産性の向上と賃上げの加速によって、企業も人も持続的な成長を実現する未来を目指そう」との思いを込め、今号のサブタイトルも前回に続き、「Keep pushing forward into the Future（未来に向かって力強く進み続けよう）」といたしました。

本書では、第１・２章で内外経済の状況を点検し、第３章ではわが国の中小企業の動向にスポットを当てています。執筆にあたってはなるべく新しい経済指標をもとに、わかりやすい図表と解説を心掛けました。また、身近な話題を経済的視点で捉えたコラムも掲載しており、気軽な読み物としてもお楽しみいただける内容となっております。本書が、皆さまの経営環境の判断材料や研修資料などとして、少しでもお役に立てれば幸いです。